HOME > 組織概要と目的 >  設立趣旨

日本がん臨床試験推進機構 設立趣旨

(平成14年11月13日 法人設立)

近年、がん治療は著しく進歩してきましたが、この過程でがん臨床試験の果たしてきた役割は極めて大きなものがありました。21世紀を迎えた今日においても、その重要性はますます増大していると思われます。

しかし、残念ながら、わが国におけるがん臨床試験は質・量ともに世界の趨勢から大きく立ち遅れています。Evidence-based medicineが謳われる今日、わが国で創られた evidence がどれほどあるのかを考えたとき、深い思いにとらわれます。欧米で創られた evidence をそのまま取り入れ続けるだけでは、果たしてわが国のがん治療の発展を約束することが可能でしょうか。遺伝子科学の飛躍的な発展からゲノム創薬の世界的な競争を迎えた今日、治験の空洞化がこのまま進んでいくことが何を意味するでしょうか。世界的な新薬を患者さんに使うことが出来ないもどかしさはいつになったら解消されるのでしょうか。わが国のがん患者さんは、新薬の恩恵に浴する機会を逸し、世界の新しい標準治療さえ一部は受けられない状況におかれているのです。

がん臨床試験の衰退と空洞化は、平成10年に新GCP法が施行されてから加速しています。現行制度下での治験、あるいはこれに準拠する医師主導型の臨床試験の実施に当たっては、細部に亘る手続きを要求され、厳密な試験の実施、データ管理、監査に多大の労力と費用を要するようになったことがその一因と考えられます。高度な臨床試験をスムースに実施するためには、これらの障壁を取り除いて臨床医のインセンティブを高めなければなりません。このためには、臨床試験を強力に推進するためのインフラを整備した恒常的な支援機構の設立が不可欠です。これは多くのがん臨床医が熱望しているだけでなく、広く社会からも強い要請を受けていると思います。多くのがん臨床医、基礎研究者が臨床試験に伴う事務処理から開放され、結集すれば、わが国においても欧米を凌駕する優れた臨床試験を行うことが可能であると確信します。

以上の背景から、現況を打破するため、私たちはがん臨床試験を強力に推進し支援する恒常的な研究推進機構の設立に向けて立ち上がりました。次のような基本構想を掲げて、がん征圧による福祉の増進を目指して行動します。

  1. 創造的ながん臨床試験を支援する、開かれた研究の場を提供します。
  2. 研究者主導型の多施設共同研究を中心にすえ、多くのがん種(消化器系がん、呼吸器系がん、婦人科領域がん、乳がんなど)、幅広いフェーズでの臨床試験を企画・実行・支援します。
  3. 幅広く英知を結集し、臨床試験の規模の拡大と試験期間の短縮を目指すとともに、各領域に専門家を配し、臨床試験の質の向上を図り、患者の利益を一義的に考えた臨床試験を行います。
  4. インターネットを活用して登録、CRF作成を行い、CRC支援を行うことで、治験に伴う事務手続きから医師の負担を大幅に軽減し、経費の節減と質の高いデータ管理を確保します。
  5. 定期的な学術集会の開催、CRCの育成、啓蒙活動などを行います。
  6. 既存の臨床試験研究グループとの共同研究も積極的に推し進めます。
  7. 特定非営利活動法人(NPO)組織として、会費の拠出と共に、募金活動を行い、公正・中立な運営を行います。

本機構を日本がん臨床試験推進機構(Japan Clinical Cancer Research Organization : JACCROジャクロ) と呼称し、設立趣旨にご賛同いただいたわが国のがん臨床研究、がん基礎研究を主導しておられます方、ならびにご支援をいただける方々と共に、私たちは本機構をここに設立いたします。

平成14年3月23日

【設立者】

金丸 龍之介
(東北大学加齢研究所)
小山 博記
(大阪成人病センター)
高久 史麿
(自治医科大学)
竹内 正弘
(北里大学臨床薬学研究センター)
鶴尾 隆
(東京大学分子細胞生物研究所)
峠 哲哉
(広島大学原爆放射能医学研究所)
中島 聰總
(癌研究会癌化学療法センター)
中村 祐輔
(東京大学医科学研究所)
武藤 徹一郎
(癌研究会附属病院)
薬師寺 道明
(筑後市立病院)
吉本 賢隆
(癌研究会附属病院)

特定非営利活動法人
日本がん臨床試験推進機構
理事長 高久 史麿