JACCRO e-Journal no.3(2007/09) |
ASCO参加報告書
市立堺病院 外科
宮ア 安弘
私はこの度JACCRO GC-03研究参加施設対象海外派遣要員として米国臨床腫瘍学会(第43回、ASCO2007)に初めて参加することになった。
本学会は世界最大の腫瘍学会であり、またその学会に本年は日本から、胃癌を専門とする医師が結果を待ち望んだJCOG9912およびSPIRITS trialの結果が報告されることになっており、
期待を大にして学会場へ私は足を運んだ。
胃癌を専門とする私は、Gastric cancerに関する演題、ポスターをできる限り全て聴講、閲覧し、質疑応答を行った。
国際的には胃癌患者罹患数が少ないことから、国際学会における胃癌関連演題の占める割合は少ないものの、日本ではまだ行われていない多様な臨床試験の存在を確認するに十分であった。
胃癌分野においては、日本においていわゆる新規抗癌剤といわれるTaxane系、CPT11を含んだレジメン報告が中心をなしており、日本からもIRISレジメンの報告は注目が集められていた。 日本ではJACCRO trialを代表とするTaxotereレジメンの臨床試験が行われているが、本学会では昨年よりさらに、胃癌におけるTaxotereの位置づけが重要なものになっている印象をうけた。 また胃癌領域における分子標的治療薬の報告もあり、Herceptinに関連したものが目立った。
先に述べたJCOG9912、SPIRITS trialのoral presentationでは数百人の聴衆が集まっていた。
これらの臨床試験におけるレジメンは海外から報告されたV325 studyやREAL2 Trialに劣らない治療成績(JCOG9912 TS1:MST11.4カ月、SPIRITS trial TS1+CDDP:MST13.0カ月)を示しており、
また試験デザインも申し分ないものとの印象を受けたが、TS1、および5FUレジメンが欧米においてあまり行われていないことからDiscussantのDr.Mayerのコメントは厳しく(標準治療とするには時期尚早)、
胃癌標準化学療法としての位置づけへのハードルはまだ高い。
しかし、私を含めた多くの本邦胃癌専門医は、確固とした信念をもとに、海外に劣らない胃癌治療を行っている自負を持っていると思う。
しかし、Evidenceのない治療はいくら数字上の成績がよくとも標準とはならない。また本邦のみでの臨床試験、薬剤は将来消えてしまう可能性もゼロではないように思われた。
JACCRO trialは日韓合同の臨床試験であるが、今後同様に、日米合同、あるいは日英合同の臨床試験デザインを組み、本邦での胃癌治療の質の高さを証明しなければならない。
時期尚早ではない結果をASCOで報告できる年が必ず来ると思い、シカゴをあとに帰国した。

