JACCRO e-Journal no.3(2007/09) |
ASCO報告書
近畿大学医学部 腫瘍内科
宮崎 昌樹
平成19年6月1日よりアメリカシカゴにて米国臨床腫瘍学会に出席。肺癌や胸膜中皮種、胃癌、大腸癌などを中心に新しい治療について学ばせていただきました。
進行非小細胞肺癌に関しては初回化学療法においては従来の標準的治療であるCDDP+Gemによる治療とCDDP+Gemに血管新生阻害剤であるBevacitumabを追加しProgression free survivalを比較した第V相試験が発表され後者が有意差をもってPFSを延長することが発表され(6.1ヶ月 vs 6.7ヶ月)以前の報告とあわせて標準治療が変わることが示唆された。 また進展型小細胞肺癌において予防的全脳照射を施行するかしないかのを比較した第V相試験では予防的全脳照射が予後を改善することが発表され長年論議されていた予防的全脳照射についての結論が導かれた。 胸膜中皮種では標準的治療であるCDDP+Gemと今最も期待される血管新生阻害剤であるBevacitumabとの効果を比較した第U相比較試験が発表されたがOSにおいて差を認めずBevacitumabを追加した際の延命効果は認められなかった。
また進行肝細胞癌においてプラセボ群とsorafenib群とで生存を比較した試験SHARP(Sorafenib HCC Assesment Randomized Protocal)の結果が発表され、 Sorafenib群がMST10.7カ月とプラセボ群の7.9か月と比較し優位に生存期間を延長したことが報告された。 肝細胞癌においてはRFA,PEIT,TAEなどの局所治療が中心で生存期間に寄与する薬物は今まで皆無であったため、今回のASCOの発表の中で最もインパクトのある発表となった。
進行胃癌の全身化学療法に関しては日本より第V相比較試験が2演題口演で発表され#4513:進行胃がんに対する5Fu単独療法とイリノテカンとシスプラチンの併用療法、
S-1単独療法のランダム化第V相試験:JCOG9912)生存期間に対するCDDP+CPT-11併用(CP)療法の優越性とTS-1単剤療法の非劣性を同時検証する目的で計画され、
本邦における癌臨床試験としては最大規模ともいえる704例が登録された第V相試験である。
Reference armである5-FU治療群の成績が当初の予測を上回る結果であったためにCP療法の優越性は検証されなかったが、
経口摂取不能症例や一部の症例群ではCP療法も有効であることが十分予測される。
また非劣性が検証されたTS-1療法に関しては本邦の新しい標準的治療のひとつであると考えてよいものと思われる。
そして進行胃がんに対するS-1単独療法とS-1+シスプラチン併用療法のランダム化第V相比較試験:#4514:SPIRITS試験では主要評価項目を全生存期間(OS)、
TS-1を標準治療、TS-1+CDDPを試験治療とし、TS-1+CDDPの優越性を検証する第V相試験で、OSの中央値はTS-1群で11ヵ月、TS-1+CDDP群で13ヵ月、
ハザード比0.774、p値は0.0366であり、試験治療であるTS-1+CDDPが統計学的に有意にOSを改善した。
これにより本邦における胃がんの標準的化学療法がTS-1+CDDPと判明した。
今回のASCOでは様々な分野にわたりtopicがたくさんあり非常に勉強になりました。派遣していただき本当にありがとうございました。

