JACCRO e-Journal no.1(2007/04) |
Gastrointestinal Cancers Symposium参加印象記:肝・胆・膵
癌研有明病院 消化器内科
猪狩功遺
Gastrointestinal Cancers Symposium は2007年1月19日から1月21日までの3日間、米国フロリダ州のオーランドで開催された。 消化器癌関連の演題が一堂し、教育口演、一般口演、ポスターなど500前後の演題が発表された。 海外からの参加も多く、アジアでは日本、韓国、中国の発表が多かった。消化管に比べると肝胆膵の分野の演題は少なかったが、化学療法に限らず多彩な演題が集まった。 ここ数年で膵癌の化学療法は着実に進歩しているため、膵癌の新しい治療法に期待して参加した。
膵癌ではこれまでは標準治療である塩酸ゲムシタビン(GEM)との併用療法の有効性を模索する試験が多く、GEMとcapecitabineとの併用療法で唯一生存に差がでた。 今回のシンポジウムではインパクトのある第V相試験の報告はなく、GEM + bevacizumab vs GEM+placeboの第V比較試験のプレリミナリーな発表で、 bevacizumabの上乗せ効果は残念ながら認められなかった。今後も分子標的薬剤との併用療法の有用性を試す試験が続くと思われる。
GEM無効な切除不能膵癌に対して2nd-lineの治療が求められているが、capecitabineと docetaxel、bevacizumabとerlotinibの併用療法が報告された。
局所進行切除不能膵癌に対する放射線化学療法によりdown stagingできれば、かなりの割合で切除が可能になるとの発表は注目に値する。 ただし、施設間で切除適応基準が異なるため、データの解釈には慎重でなければならないが、今後の診療が目指す方向性であろう。 術後の放射線療法、放射線化学療法に関する発表も散見されたが、大規模な試験にて有用性を証明する必要がある。
膵の神経内分泌腫瘍は米国では増加しているようで、画像診断の進歩によって発見が容易になってきていると考えられる。 この種の腫瘍は有効な治療法がなく、早急に標準化学療法を確立する必要がある。そもそも稀有な症例だけに、世界的規模の臨床試験が必要になるであろう。
胆道癌は塩酸ゲムシタビンが唯一の標準治療である。今回は目立った発表はなかったが、膵癌と同様、併用療法の可能性を探る臨床試験が行われつつある。 第V相臨床試験でその有用性を明らかにする必要があろう。
肝細胞癌に対しては有効な化学療法がなく、有効な抗癌剤を探すための試験が散見された。 欧米にあっては肝切除か肝移植が選択されるが、移植までの待ち時間が長いなどの問題を抱えている。 症例を選べば肝動脈塞栓術も有効で、ラジオ波焼灼も肝切除と同等の治療効果を認めている。 元来、多中心性発生する腫瘍であるため、局所治療の限界があり、有効な全身化学療法の確立が望まれるところである。
今後は、肝胆膵の癌治療もよりよい集学的治療によって延命が可能になっていくのを期待したい。 そのためには質の高い臨床試験を短期間に行うだけの組織力が必要になり、それができなければ、この分野での後進国に成り下るであろう。

