JACCRO e-Journal no.1(2007/04) |
Gastrointestinal Cancers Symposium 2007 (ASCO GI)に参加して―胃癌領域―
駿河台日本大学病院 消化器外科
JACCRO GC-03 研究責任者
藤井雅志
Gastrointestinal Cancers Symposium(通称:ASCO GI)は今回で4回目を迎え、2007年1月19日〜21日までフロリダ州 Orlando World Center Marriottで 総参加者数千人、日本からの参加者も推定2百人以上で開催された。会場はMarriott Hotelに併設され、ホテル内にはプール、ゴルフ場もある。 また、ディズニーワールドやSea World, Universal Studioにも近い。ASCO GIがオーランドで開催されるのは初めてで、 通常のASCOが行われている巨大なOrange Countyコンベンションセンターで行われると勘違いし、ASCO GIの会場から離れたホテルを予約する方も見られたので、 来年参加を予定される場合は要注意である。
会期は3日間で、第1日目がCancers of the Esophagus and Stomach、第2日目が Cancers of the Pancreas, Small Bowel, and Hepatobiliary Tract、 第3日目がCancers of the Colon and Rectumとなる。3日間ともほぼ同じプログラム進行で、基本は教育講演である。会場は1万人が収容されると思われる1会場のみで、 各領域のPrevention, Screening, and Diagnosisについて最新の報告がなされ、治療へと展開、ランチボックスを食べながらポスター発表、午後に注目のOral Abstract Presentation、 さらにTranslational Research、Contraversiesで締められ、ワイン片手に午後のPoster Presentationが行われる。教育講演の形式はWCGIC、ISGIOと同じであるが、 本番のASCOに先駆けて最新の成果を報告するOral, Poster発表に注目が集まる。胃癌のハイライトは何と言っても日本からの胃癌補助化学療法の治療成績「ACTS-GC」の発表である。 国立がんセンターの笹子先生の流暢な英語で胃癌Stage II, IIIのD2郭清後の補助化学療法としてS-1単独治療の優位性が報告された。 従来の胃癌補助化学療法はメタアナリシスでの有用性は証明されていたが、単独の比較試験では手術単独に勝るレジメは無く、特に米国では放射線化学療法が標準治療とされている。 ACTS-GCは1,000例を越える症例数を集積し、中間解析の3年生存、無再発生存でS-1の優位性が証明され、効果安全委員会から早期公表が推奨された。 ACTS-GCにはJACCROの運営委員でもある、中嶋聰總先生、山口俊晴先生、私、藤井雅志が参画していることを付け加えておきたい。 解析ではStage IIIよりStage IIに補助化学療法の効果が良いように思えるが、最終解析の成績の報告を待ちたい。Oralでは他にも最新の成績が報告されたが、 セッションの最後に行われた質問時間の全てがACTS-GCに関する質問であり、質問者が冒頭に「Congratulations!」と言ってから質問を開始する光景を共同演者として誇らしく感じた。 ACTS-GCにおける補助化学療法がD2郭清後に有用と敢えて発表することで、欧米と日本の胃癌手術治療の差を縮めることにも貢献できればと考えている。 この報告は続くPoster Presentationでも展示され、引き続き多くの質疑応答が行われた。OralとPosterの2回の発表であるが、口演では見逃される細かなデータも確認できていいシステムである。 胃癌関連のポスターは102題で、内10題が日本からの参加者からである。
さて、Orlandoであるが、この季節朝霧が出るころは肌寒いが、日中は半袖で過ごせる。 暖冬とは言え、大寒波が襲って来ており、ワシントンからの乗り継ぎ便に遅れが出たりする中でOrlandoは穏やかである。 何度が訪れているが、美味しい日本料理屋が無い。唯一、ましな場所があるが学会関係者で溢れかえっている。公表すると更に混雑するので来年のLate breaking informationとする。 他には夜、時間があれば、ホテルからタクシー5分でダウンタウン・ディズニーがある。ここでロブスターの夕飯を食べるのも良し、有名なサーカス「シルクドソレイユ」も常設で見られる。 隣の売店では熱燗や海苔巻きも売っているので足を伸ばして見るのもお勧めである。家族連れでも充分満足できる。
来年度のASCO GIは2007年1月25日〜27日に今回と同じオーランドで行われる。 JACCROではGC-03研究推進のためのインセンティブとして、本年7月までに10症例以上の登録を戴いた全ての施設の代表者をASCO GIに派遣し、現地にて研修会を開催する。 今からでも充分間に合いますので、適格症例がありましたら登録をお願い致します。

